当社とご契約中、またはご検討中のお客様からもっとも多く頂くご質問が「廃棄物の種類や分別方法」にまつわるご質問となります。
当社とご契約を頂いたお客様に対しましては誠心誠意を尽くしてサービスを提供しておりますが、日常的に排出される廃棄物全てを事前に管理することは難しいこと、また「廃棄物処理法:第3条」の観点からも廃棄物の分別はお客様自らにお願いをさせて頂く形となります。
限りある貴重な資源を守り、環境や社会への負荷を軽減するためにも何卒ご理解・ご協力をお願い致します。
廃棄物処理法:第3条とは
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない
環境省「排出事業者責任の徹底について」
廃棄物の種類について
廃棄物の分別の話をする前にそもそも「廃棄物にはどのような種類があるか」について解説をさせて頂きます。
すべての廃棄物は2種類に大別される
国内で排出されるすべての廃棄物を大別すると「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分けられます。
産業廃棄物とは事業を通じて排出された廃棄物の中でも特別な注意を払うべき「法令によって定められた20種類の廃棄物のこと」を指します。
さらに、産業廃棄物に定められる20種類の廃棄物も「あらゆる事業活動に伴うもの」と「特定の事業活動に伴うもの」の2つに分けられます。
これはつまり、同じ「紙くず」を事業を通じて廃棄物として排出した場合、排出者が行っている事業の業種によって「産業廃棄物」と「一般廃棄物」どちらの廃棄物として扱うかが異なってくるということです。
【例】紙くず
製紙業・出版業などの場合・・・産業廃棄物に該当
小売店やアパレルなど・・・一般廃棄物に該当
「特別管理産業廃棄物」とは
産業廃棄物の中でも特別な管理を必要とする廃棄物が「特別管理産業廃棄物」として区分けがされています。
毒性をもっている、爆発の可能性がある、感染する可能性があるなど、生活者の健康や環境にとって被害を及ぼす可能性を持つ廃棄物に対して特別な規制と処理方法が定められています。
灯油、軽油、廃硫酸、廃塩酸、金属石鹸液、感染性産業廃棄物(血液が付着したもの、注射針など)、特定有害産業廃棄物など
一般廃棄物とは産業廃棄物以外のすべての廃棄物のこと
一般廃棄物とは一言で言えば産業廃棄物に該当しないすべての廃棄物を指し、廃棄物の種類による区分けでは「ごみ」「し尿」「粗大ごみ」の3種類に分けられます。
さらに前述の「特別な管理を要する廃棄物」は一般廃棄物においても同様に特別な扱いをします。
次に排出者による区分けを追加すると下記のようになります。
※し尿につきましては個人、または事業者が直接汲み取りや処分を行うことは例外的ですので省略させて頂きます。
上記図の中で一般家庭から排出された廃棄物と粗大ごみを「家庭系一般廃棄物」、事業者から排出された廃棄物を「事業系一般廃棄物」と呼びます。
ここまでの説明を前述の産業廃棄物の説明まで含めてまとめた図が下記になります。
フローチャートで見る廃棄物の分岐ルート
ここまでの内容を前提とさせて頂いた上で、廃棄物の種類に関しての大切なポイントや注意点をご説明させて頂きます。
廃棄物の種類の違いによる注意点
産業廃棄物と一般廃棄物、また一般廃棄物の中でも家庭系一般廃棄物と事業系一般廃棄物、これらの違いにおいて特に把握しておくべき注意点をまとめます。
- 処理責任の所在の違い
- 排出される条件によって扱いが異なる廃棄物がある
- 収集運搬業者が持つ許可の種類
責任を持って廃棄物を管理するためにとても大切なことばかりですので、ひとつずつ解説していきます。
廃棄物の種類によって処理責任の所在が異なる
産業廃棄物、または事業系一般廃棄物であるか、家庭系一般系廃棄物であるかによって廃棄物が不適切に処理された場合の責任追求の対象が異なります。
これは廃棄物処理法によって厳格に定められた社会のルールですので、正しく理解し遵守していく必要があります。
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない
廃棄物処理法:第3条第1項
事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。
廃棄物処理法:第11条第1項
産業廃棄物の場合
産業廃棄物の場合は、「適正処理の責任」も「自ら処理の義務」も排出事業者に処理責任があります。
事業系一般廃棄物の場合
一般廃棄物の中で事業に伴い発生する廃棄物である事業系一般廃棄物の場合は、「適正処理の責任」は排出事業者にあり、「自ら処理の義務」は事業者にはありません。
家庭系一般廃棄物の場合
一般廃棄物の中で事業に伴い発生する廃棄物である事業系一般廃棄物の場合は、「適正処理の責任」は市町村にあり、「自ら処理の義務」も個人にはありません。
種類 | 適正処理の責任 | 自ら処理の義務 | 責任の所在 |
---|---|---|---|
産業廃棄物 | 有り | 有り | 事業者 |
事業系一般廃棄物 | 有り | なし | 事業者 |
家庭系一般廃棄物 | 有り | なし | 市町村 |
そして、お客様より廃棄物を預かる身である私達から念を押してお客様にお伝えをさせて頂くべき注意点がございます。
処理業者に処理を委託した場合であっても、排出事業者に処理責任があることに変わりはありません。
環境省「排出事業者責任の徹底について」
もし、お客様よりご依頼を頂いた廃棄物に問題があった場合、その責任は排出事業者であるお客様が措置命令の対象となってしまいます。
この点、ご留意頂いたうえで弊社のサービスをご利用頂ければ幸いです。
もちろん、お客様より廃棄物を預かる中で問題がある場合は該当箇所をご指摘させて戴きますので、その点はご安心くださいませ。
排出される条件によって扱いが異なる廃棄物がある
事業者が排出する廃棄物の中には、同じ品目であっても事業者が行う業種によって「産業廃棄物になるもの」と「事業系一般廃棄物になるもの」とが分かれる品目があります。
このような廃棄物は「特定の事業活動に伴う産業廃棄物」と呼ばれ、下記の事業を行っている場合は注意が必要です。
建設業、パルプや紙の加工製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷加工業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業、繊維工業、食料品製造業、香料製造業、と畜業、食鳥処理業、酪農業、養豚業、養鶏業、食用牛生産業
そして、下記の7品目が「特定の事業活動に伴う産業廃棄物」に該当します。
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 動物性残渣
- 動物系固形不要物
- 動物のふん尿
- 動物の死体
特定の事業活動に該当しない美容室においては「紙くず」は産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物に該当しますが、建設業や製本業、出版業では「産業廃棄物」に該当する形となり、その気は無くとも知らずしらずのうちに不適切な処理を行ってしまっているケースも珍しくありません。
自らが行う事業が上記の業種に当てはまっている方は、いま一度普段の廃棄物の処理について見直して行ってみてください。
収集運搬業者が取得している許可に注意
私たちのような廃棄物の回収運搬業者は、産業廃棄物であれば「都道府県」、一般廃棄物であれば「市町村」から適切な許可を受けて日々の事業を行っています。
廃棄物の種類によって許可の管轄が異なるということは当然、産業廃棄物であれば産業廃棄物用の、一般廃棄物であれば一般廃棄物用の、それぞれ異なる専用の許可を取得する必要があります。
近年「不用品回収」や「不用品整理」を行う業者が増えていますが、その中には産業廃棄物用の許可証のみを取得し、本来は扱うことのできない家庭系一般廃棄物や事業系一般廃棄物の回収を行っている業者も存在します。
繰り返しになりますが、事業に伴って排出する廃棄物の責任所在は産業廃棄物であっても事業系一般廃棄物であっても事業者にあります。
無許可業者のサービスを利用し、不法投棄や環境汚染などのトラブルが明るみに生じた場合、その責任追求は事業者にも及びます。
ですので、廃棄物の処理を外部に委託する場合は委託業者が所得している許可証を確認してから、検討を行うようにしてください。
なお、弊社は産業廃棄物と一般廃棄物のどちらの許可も取得済みですので、安心をしてご相談くださいませ。